Myself;Yourself 第13話「きずな」

tsukibito2007-12-26


超展開を乱発すると、こんなステキな作品に仕上がるんですね。ということを教えられた。良し悪しの是非はこの際置いておくとして、この怒涛の構成には感嘆しました。いや、ホント。
菜々香の思い出した過去……火災の発端は、夫婦喧嘩。菜々香は実は、菜々香の母と、菜々香のヴァイオリンの先生との子供で、今まで父だと思っていた男(神主さんの弟)との血のつながりはなし。結婚後の不倫とかではなく、母親とヴァイオリンの先生が真実をずっと黙っていたってのがみそですね。
それを知った父親は、逆上し母親を殺害。失意に溺れ、灯油をかぶって焼身自殺。菜々香はなんとかその場から逃げ出し、そのときの記憶を失っていたと。今まで謎とされてきた部分を、短い過去回想にまとめたのは上手い。
真実を思い出した菜々香はその後ショックで引きこもってしまい、リストカット自殺を図るも、寸前で佐菜に助けられる。そして菜々香の傷を癒すため、佐菜自身も中学時代、いじめが原因でリストカット経験があったことを告白。これで佐菜が抱えていたトラウマの伏線も回収っと。
菜々香の記憶の残滓に浮かび上がっていた男性が神主さんではなく髪を下ろした父親だったのは意外として、佐菜の外さない腕時計のわけは、ミスリードではなくストレートに重い過去の象徴(リストカット)だったわけか。1話でマイユア最大の謎とされていた二つの伏線を回収したのは、凄いんだけどさすがに強引さが残るか。
なにせ告白した直後は「十年後」でいきなりエピローグだから。強引じゃないなんて言えない。
成長し大人の女性になった雛子、手を繋いで歩く若月姉弟、三十路近くでも金朋な麻緒衣ちゃん、黒さは薄れた?星野さん、売れ残り先生、菜々香に結婚指輪を渡す佐菜と、みんなの前でヴァイオリン演奏会を開く菜々香
後日談としてはとても綺麗だけど、互いの傷を舐めあうような告白からいきなり順風満帆では、やはり腑に落ちないところが。
個人的には、こういうハッピーエンドは大好きなんですけれどもね。終盤の展開はやたらドロドロしてたり血生臭かったりしたのに、強引さが残るとはいえよくもまぁ軌道修正したものだ。
しかし修輔と朱里……十年後でもあの様子となると、どう考えても近親相姦エンド……いや、むしろあの手と手の間に子供の一人でもいてくれたほうがおもしろかったような……気にしないでおこう。
総評として、中盤以降は予想外の展開ばかりが続き、後半で完全に別物へと変貌した、従来のギャルゲ系列アニメとは違った楽しみ方できた作品でした。